【第6回】
節食ダイエットは脳の大敵
人の体のあらゆる組織、細胞は、食べ物によって維持されている。脳も例外ではない。では脳にとってどんな栄養分が大切なのか。健脳術には欠かせない要素といえる。
脳のエネルギー源になるのは、ブドウ糖だけである。また脳の活動に必要な神経伝達物質は、多くはアミノ酸からつくられている。「特に本能行動に関係するドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンは必須アミノ酸のフェニルアラミン、チロシン、トリプトファンからつくられます。必須アミノ酸は体内合成できないものだけに、食べ物から摂取するしかないのです」と浜松医科大の高田明和名誉教授は解説する。
ビタミンも、脳の機能に重要なことが分かってきている。中でもビタミンB群、ビタミンC、Eの効用が証明されている。ミネラル分では、カルシウム、セレニウムなども重要だ。「健脳に大切な食生活という点で心配なのは、ダイエットブームです。ブドウ糖は甘みのある砂糖やでんぷんといった炭水化物からつくられますし、必須アミノ酸が豊富なのは肉類です。過度の節食を中心とするダイエットは脳にとって大敵です」(高田名誉教授)。
東京都老人研究所は、寿命に関係するさまざまな因子を追跡調査しているが、70歳を対象にしたものでは、ある程度太っている人の方が男女とも長生きするとの結果を報告している。
健康、生命維持の司令塔となっている脳幹は体温調節中枢にもなっているが、その体温調節が体のさまざまな機能に生体リズム(約24時間)を与えるもとにもなっている。筋肉をスムーズに動かすにも、脳幹から大脳基底核に入り込んでいるA9神経の働きかけが重要。パーキンソン病は、A9神経の異常が原因になっている。
高田名誉教授が薦める日常生活における健脳術は、(1)ストレスを避け自分の心を傷つけないようにする(2)希望のもてる言葉を自分にかける(3)明るいところに出る(4)体を動かす(5)ホルモンを分泌させるような生き方をする(6)体のリズムを守る(7)脳を活性化する食べ物をとる(8)人生観を見直す。大脳生理学にのっとった健脳術である。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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