【第5回】
体の負担少なく最高86歳も
前立腺がん・超音波療法5
東海大八王子病院泌尿器科の内田豊昭助教授が、前立腺がんの超音波療法を開始して、5年余り。これまでの成績をまとめた結果では、手術に匹敵する治療効果が出ている。
では、副作用や治療による合併症の危険はどうなのだろうか。前立腺の全摘手術では尿漏れや勃起障害が高率に起こることが知られているが、超音波療法の場合、尿漏れはゼロ。勃起障害も31%と非常に低い。また、手術と違って体にかかる負担が少ないので、高齢者でも治療できるのがメリット。内田助教授がこれまでに治療した最高齢の患者さんは86歳だそうだ。
さらに、超音波療法は何度でも行えるのが利点。内田助教授によると「加熱不足でがんが残り、再度治療をしなければならない人が、今も5%ぐらいいる」という。その場合も、繰り返し治療ができる。もっとも、現在装置の改良が進んでいるので、加熱不足による取り残しの危険はさらに低下するとみられている。
つまり、超音波療法は体への負担が少なく、入院も1泊2日、重い合併症の危険が少なく、何度でも治療できるのが利点。それでいて、今の段階では手術に匹敵する効果が認められている。「私自身、5年間超音波療法を実施してきて、自分や肉親が前立腺がんになったら、この方法で治療を受けたいと思っています」と内田助教授。
今のところ、超音波療法は基本的に前立腺内にとどまる転移のないがんで、腫瘍マーカー(PSA)の値が30ナノグラム以下の人が適応。ただ、前立腺が50グラムを超えるほど大きかったり、前立腺内に大きな結石があると適応できない。また、直腸内にプローブを挿入するので、手術などで肛門が狭くなっている場合も適応外になる。
今後、内田助教授は日帰り手術も可能になるように、より手術時間を短縮することを目指している。
【ジャーナリスト 祢津加奈子】
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