【第10回】
ワクチンで免疫つけるか、健康被害恐れるか
予防接種
私たちがかかる可能性のある感染症の中には、予防法や治療法がない病気も多いが、子供のころにワクチンを接種することで、体に免疫をつけて病気を予防できるとされるものもある。
現在、生後3カ月から15歳までの間に、国が費用を負担して接種を勧めているのは、ポリオ、DPT第1期(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)、同第2期(ジフテリア、破傷風)はしか、風しん、日本脳炎、BDGの7種類の予防接種だ。
94年に予防接種法という法律が改正され、それまで「義務」として集団接種という形で行われてきた予防接種は「努力義務」に変わり、個別接種が中心となった。改正により、保護者の意思で予防接種を受けない権利も認められた。また、もし予防接種による健康被害が認定された場合は、国による補償がされるようになった。
強制的な集団接種をやめた結果として、各予防接種の接種率は低下しており、これを嘆く現場の医師は多い。親の中には、ワクチンという異物を体内に入れる事による健康被害を心配し、接種を受けない人もいる。確かに、予防接種による事故がないというわけではなく、後遺症や、最悪の場合には死亡するといったリスクもあるのだ。
「ワクチンとの関係が否定できないとして、補償の対象となった健康被害例は、ワクチンの種類によって差がありますが、およそ100万回接種に1件の割合です。接種後に健康状態が悪化した場合でも、ワクチン以外の要因が背後にあると考えられる場合も多く、被害の認定が難しい面もあります」と小児科医でもある国立感染症情報センター長の岡部信彦氏は説明する。
予防接種をして病気になるリスクを減らすか、接種による健康被害を恐れて、自然に病気にかかる方のリスクを選ぶか…。予防接種ごとにリスクも違うので、決断は親の意思が尊重される。親の責任は重い。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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