【第11回】
特別な治療法なし、早めの対策を
予防接種のある感染症 はしか1
2歳のR君は数日前から、熱が出て機嫌が悪く、水分も取らなくなってしまった。顔に赤いボツボツが出てきて、どうも普通の風邪とは違う様子だった。R君の口の中を見たお母さんは、口全体が赤く、歯茎やほおの内側にぶつぶつの白い発疹(しん)を発見し、ただごとではないと、小児科に駆けつけた。
小児科の待合室はいっぱい。受付で症状を話すと、看護師さんの表情が少し緊張したようになり、別室で待つように指示された。医師の診断は、はしか(麻しん)だった。実はR君のお母さんは、はしかの予防接種を、うっかり忘れていたのだった。
「はしかは、くしゃみや目やになど、風邪によく似た症状から始まります。熱が2〜3日続いた後に下がり、半日〜1日たった時再び発熱します。2回目の発熱と同時に全身に発疹が出てきます。口の中の白いつぶつぶは『コプリック斑(はん)』といい診断の決め手です」と東京都大田区大森の小児科医、宮下守医師は説明する。「このコプリック斑の出ている1〜2日が最も人にうつしやすく、また本人にとってもつらい時期です」。
また発疹の出ている時期は肺炎、脱水症、中耳炎、ひきつけ、脳炎なども起こしやすいという。はしかにかかれば、特別な治療法はなく、抗体ができるまで1週間ほど安静にして、水分を取り回復を待つしかない。また、はしかは体力を使う病気なので熱が下がっても、3、4日の安静が必要だ。ボツボツは次第に色あせて、薄茶色のしみのようになりきれいになるまで、1〜3週間かかる。
予防接種を受けていない1歳前後の乳幼児と大人のはしかが増えているのが最近の傾向だ。「昔の人が、はしかを“命さだめ”と言ったことからも分かるように、深刻な感染症です。必ず予防接種を」と宮下医師。任意接種なら1歳未満でも、もちろん大人でも受けられる。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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