【第13回】
根絶目指し、まず実態調査を
予防接種のある感染症 はしか3
「1歳のお誕生日に麻しん(はしか)予防接種を!」。日本小児科医会はこんなコピーで、予防接種の必要性を親たちに訴えている。
「はしかの予防接種率の向上は、はしかが重症化し、脳炎になったり、生死の境をさまよう子供たちを診ている小児科医の切実な願いです。そのためにも全国で接種費用の無料化を」と訴えるのは、日本外来小児科学会アドボカシー委員会の委員長、三浦義孝医師だ。
今年5月、群馬県高崎市の高校、中学で45人のはしか患者が確認されたが、はしかの集団発生は全国の幼稚園、小中学校、高校、大学などで散発的に起こり、とどまるところを知らない。
「小児科医は、子供のはしかを見のがすことはまずありませんが、内科医の中には、はしかを診たことのない人もいる。子供のころワクチンを接種していない若者が、はしかになっても内科での診断が早くつきにくいという例もある。感染力の強い病気だけに、集団発生なども心配です」と指摘するのは、全国の小児科医による「麻しんゼロ作戦」というプロジェクトで活動する東京都府中市の小児科医崎山弘医師。
日本では、1歳を過ぎたらはしかの予防接種を受けることが勧められているが、1歳児の接種率は50%程度、感染者は年間15万〜20万人もいると推定される。一方、子供にはしかの2回接種を行う米国では、予防接種率は92%で、ほぼ根絶に近い状態だ。
予防接種は市町村が主体になって行うが、実は、市町村の多くは予防接種台帳をつくっておらず、その地域に住むある年齢の子供の何%が予防接種をしているのかというデータすらない。「共働き夫婦の増加などもあり、接種の重要性が伝わらない場合も多い。行政の積極的な働きかけが大切です。麻しんゼロ作戦はまず全国の実態調査から始めます」と崎山医師は話す。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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