【第18回】
妊娠中にかかると赤ちゃんに影響
予防接種のある感染症 風疹
日本語教師のM子さん(30)は、日本語の勉強に来ていたイタリア人Rさんと電撃的な恋愛をし、プロポーズを受けてミラノに渡った。ほどなく妊娠が分かり幸せな日々を送っていた。ところがそのころ、ミラノのM子さんの住む地域では風疹(しん)が流行していた。
M子さんは、妊娠4カ月。日常のイタリア語が少し分かるだけで、風疹の流行も知らず、それが妊婦にとって危険な病気であることも、自分が風疹のワクチンを接種していないことも意識しなかった。そして多分風疹にかかったのだが、あまりに軽症だったので風邪だと思ったという。
ところが出産後の乳児検診で、赤ちゃんが難聴であることがわかり、それが妊娠中の風疹の影響と考えられることを知った。「大切なわが子です。でも私の不注意ですから、後悔が残ります」とM子さん。
M子さんの場合も、知識不足でワクチンの接種をしなかった例だが、予防接種制度の変更によって風疹の予防接種が受けづらかったワクチン「空白世代」の15〜24歳がいる。95年以前には、風疹ワクチン接種は中学2年の女子全員を対象に行われていたが、予防接種法の見直しで、1〜7歳半の間に個別接種することに切り替わったため、接種の機会を逃した人々だ。
厚生労働省は、この空白世代の男女に、ワクチンを無料で接種する救済措置を今年9月まで行なった。しかし依然として情報が行き渡らず、接種をしていない人が残ったままだ。国立感染症研究所・感染症情報センター長の岡部信彦氏によると、「免疫のない女性は、10代で約90万人、20歳でも約30万人います。もし妊娠前半期に初めて風疹になると、産まれてくる子供に難聴や心臓病、白内障などの障害が出る恐れがあります。赤ちゃんを守るため、女性だけでなく、男性も接種を受けてほしい」と警告を発している。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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