【第19回】
生ワクチン2回で76年以降死者ゼロ
予防接種のある感染症 ポリオ
ポリオは国内ではほぼ根絶されているが…「小児マヒ」と呼ばれ、日本でも40年くらい前までは、流行をくり返していた怖い病気だ。ポリオウイルスに感染すると100人中、5〜10人はまず風邪のような症状になり、熱が出て、続いておう吐、足や手にまひが起こる。この時のまひが残り手足が不自由になったり、最悪の場合は呼吸困難で死亡することさえある。
日本では、ポリオの予防接種は、口から生ワクチンを2回のむことになっている。しかし長年、予防接種を行った結果、日本では76年以降死亡者はゼロ。一方、アフリカやインドなどの地域には流行があるが、生ワクチン接種を続けることに否定的な意見も多い。
というのも、生ワクチンを使うと予防接種をした子から感染が起こることがあるためだ。これは人工的に弱くなるように加工したウイルスが、人の体を通過することで、元の暴れん坊に戻ってしまうこともあるからだ。排出された便にウイルスがあると、おむつなどに触れることで感染することがある。
感染した場合、ウイルスは3〜35日で腸の中で増える。しかしほとんどの人は症状が出ない。知らないうちに免疫ができ、その免疫は一生続くといわれている。
実はポリオワクチンには、日本で使用されている生ワクチンのほかに、不活化ポリオワクチンといって、ウイルスを殺して体の中で増えないようにしたものを注射する方法もある。生ワクチンの方が効果は高いが、米国では流行が収まったとして、不活化ワクチンを使用している。
「ポリオの接種時期は、予防接種法上は3カ月から7歳半までに集団で受ける態勢になっています。もちろんポリオの予防接種は受けた方がいいですが、焦る必要はない。順番から言えば子供にとって、もっと危険性の高いはしかなどを優先しましょう」と感染症に詳しい東京都葛飾区の永寿堂医院、松永貞一医師は指摘する。
【ジャーナリスト 月崎時央】
|