【第20回】
強制から「努力義務」へ
予防接種
予防接種と聞くと、小中学校の体育館に並んでの注射を思い出す人が多いはず。だが、今は保護者の意志による個別接種が中心となり、学校などでの集団予防接種はほとんど廃止されつつある。これは94年に予防接種法が改正され、以前は集団接種の形で義務として行われた予防接種が「努力義務」になったためだ。
予防接種法ができたのは48年、衛生状態も栄養状態も悪かったため多くの伝染病が広まり、強制的な予防接種が必要だった。その後、日本は豊かになり、長年強制的に予防接種を行った成果も現れ、感染症で亡くなる人も減った。今でもまだ予防接種が必要なの? と疑問を持っている人もいるだろう。
また予防接種は、ワクチンという異物を体に入れることなので、確率は低くとも副反応の危険性も含むため、国が予防接種を強制することはできない時代だ。保護者が予防接種による健康被害を恐れ「○○の接種はしない」という意思決定をすることも認められた。予防接種は、義務から、親が責任を持って、子供のために後悔のないよう、納得いくまで考えて決める努力義務に変わった。
そのためにも、まず各市町村からのお知らせをきちんと見る。親が各ワクチンについての説明文を読む。問診票に答え、子供の体調をみきわめて病院に行く。かかりつけ医の説明を聞いて判断し、承諾のサインをする。できればワクチンのラベルも確認し、接種をきちんと見届ける慎重さがあっていいだろう。
ワクチンについて分かりやすく解説した「予防接種は安全か 親が知っておきたいワクチンの話」を監訳した国立三重病院の神谷斉院長は「この本は米国の小児科医が書いた本ですが、内容を読んで、日本の保護者の方に紹介したいと思い訳しました。病気はかかってから治すのではなく、かかる前に予防することが、大切な子供さんのためによい方法です。予防接種の健康被害の可能性は、予防接種で免疫をつけずに、もとの病気にかかるのに比べ、確率的に安全度は高いのです」と呼び掛けている。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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