【第30回】
手洗い徹底が家族を守る
食中毒 下痢
会社員のAさん(44)は、先日から少し風邪気味ではあったが、得意先から接待を受け、焼き肉やユッケを食べた。帰宅後、夜中から急な腹痛に苦しみ、トイレに何度も通った。もともと腸があまり丈夫な方ではなく、時々腹をこわしたりするタイプなのだが、生モノも食べたので「ひょとして食中毒かな」という思いも頭をよぎった。しかし熱も出ず、翌日から腹の具合は回復した。
だが「もし家庭で、家族の1人が下痢をしたら、予防のために家族全員で手洗いを徹底しましょう」とアドバイスするのは、感染症に詳しい、新潟県立六日町病院麻酔科の市川高夫医師だ。「調理の前はもちろん、食事前やトイレの後には、家族全員が石けんと水による丁寧な手洗いをしておいた方がいい」とアドバイスする。
最近は0157による食中毒はあまり大きな話題にならないが、実際には散発的なO157や同種の細菌による食中毒は、冷凍食品やその他からも起こっているのだ。「いつも家族がきちんとした手洗いをしていれば、家庭内での発生を防げます。調理をする前の手洗いはたとえ家族に下痢患者がいなくても常にすべきことですが」と市川医師。
また家族にお年寄りがいて、その下(しも)の介助をした後にも、手を石けんと流水で洗うことを徹底しよう。「大腸菌だけでなく、ごくまれに腸に住み毒素を出す細菌クロストリジウム・ディフィシル(CD)の感染にも関係します。健康な人にこのCDは全く問題となりませんが、入院し手術などを受けたり抗菌薬を投与されると、この菌が優勢になり問題となります」と市川医師。
洗面所や家族共用のタオルは、普段も2日に1度は交換しよう。タオルは湿っていると菌の温床となってしまうので、いつも乾いた状態を保とう。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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