【第31回】
生肉は専用のはし、トングで
食中毒 O157
「あたし、ユッケ」「僕も!」「オレは取りあえず生ビール、あとロース…」。Nさん一家は小学校4年生のK君と6年生のS子ちゃんの4人家族。週末は焼き肉店によく行く。子供たちの大好物は、生肉のユッケ。肉は、自分のはしで焼いて食べている。ある週末、食事を終えて帰宅すると、K君が下痢と腹痛を訴えた。お母さんが整腸剤を飲ませたところすぐに落ちついたので、単なる食べすぎだったようなのだが…。
「焼き肉は安全な方法で食べましょう」と話すのは腸管出血性大腸菌O157の研究もしている三重病院小児科の中野貴司医師だ。「焼き肉レストランで見ていると、肉を焼く時に生肉に触れたはしで、焼けた肉を取り、そのまま自分の口に運んでいる光景を時々目にしますが、実は大変危険なことです」。中野医師は生肉に触れる時は、専用のはしかトングを使うことを強く勧めている。
O157は実は牛の消化管にすんでいる菌。96年に爆発的に発生し、16件の集団発生を含めて1万7877人もの患者が報告された。最も大規模だったのが、大阪府堺市の複数の小学校の集団事例で、当時確定した感染源情報は行き渡らなかった。
O157について、日常で気をつけなければいけないことの1つに「牛肉の食べ方」もある。「特に子供や免疫力が弱った老人などには生肉は食べさせない方がよいのです。病原体への抵抗力が弱い人は、O157に感染して合併症を起こす危険性があります」と中野医師。「血便、強い腹痛、意識状態の変化、顔色が悪い、尿の色が濃くなるなどは危険な兆候です。治療として水分の補給は大切です。下痢止めは使わない方がいい。普通の食べすぎと少し違うと感じたら病院に行きましょう」とアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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