【第44回】
女性の7割は症状出ず
性感染症 クラミジア
「ここ数日37度台の微熱が続いていて、息を吸う時に、右のみぞおちの辺りがひどく痛いのです」。こんな訴えで聖路加国際病院・内科感染症科の古川恵一医師の外来を訪れたのは主婦のR子さん(28)。古川医師がおなかを触診してみると、肝臓の周囲で炎症が起きている様子だ。問診でR子さんは10日ほど前から、急におりものが増え、下腹部の痛みもあったことを打ち明けた。古川医師が血液検査を行ったところ、クラミジア菌の抗体が検出された。
女性の性感染症といえば産婦人科受診を考えるものだが、R子さんのように「性感染症による腟炎から卵管炎へと菌が上がってきて、肝臓の周囲の炎症として、内科で発見されるケースも、最近は増えています」と古川医師。
「クラミジアはよく効く抗生物質があります。2週間ほど薬を飲めば治ります。ただ、性感染症ですから、当然パートナーの治療が必要になってきます。恋人や御主人にも説明して受診してもらい、一緒に薬を飲むことになります」。
性的接触による感染だけに、夫婦間でも、最初の感染源がどちらなのかという心理的にデリケートな問題はある。とはいえ、2人で一緒に治療をしなければ、互いに感染をくり返すことになる。
実はこの病気、女性の場合は7割が無症状で、R子さんのように腹痛などの痛みが出る人は3割にすぎないことが、病気の発見を遅らせ、感染拡大にもつながっている。無症状の場合でも女性は感染すると、子宮頸(けい)管炎、子宮内膜症、卵管炎、骨盤腹膜炎などを起こし、不妊症や子宮外妊娠の原因となることもある。一方男性は、無症状は3割で、7割は尿道から分泌物が出たり、排尿時に違和感があったり、前立腺炎や副睾丸炎を起こす。前立腺炎は慢性化することもある。
「クラミジアは、最近世界各国で最も患者数が増えている性感染症の病原体の1つ。気になる症状があるが産婦人科受診に抵抗がある方は、感染症の専門医のいる内科を受診する方法もあります」と古川医師はアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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