【第46回】
ペットとキス、えさ口移しは危険
人畜共通感染症 猫ひっかき病
「ウチのモモ、かわいいよ。触っていると癒やされるんだあ。こんなに、ひっかかれたけどね」。デザイン事務所に勤めるK子さん(26)は同僚に傷だらけの手の甲を見せて笑う。都内のアパートに1人暮らしするK子さんが、道で子猫を拾い「モモ」と名付けたのは1カ月前。以来、毎朝夕「いってきます」と「ただいま」のキスを欠かさない。
そんなある日、目覚めると体がだるく38度の高熱が出ていた。脇の下が痛いので鏡をみると、脇の下にビー玉ほどもあるコブが…。病院に行くと、医師は手の甲の傷と脇の下のリンパ節の腫れを見て「猫を飼っていますね。猫ひっかき病という感染症です」と診断した。冗談のような病名に驚いたK子さんは抗生物質をのんだ。脇の下のコブは次第に小さくなったが、完全に消えるまでには1カ月もかかった。
「猫ひっかき病はノミによってバルトネラ・ヘルセンという菌が猫に感染し、人間にうつります。小児科でも2〜3カ月に1度は診る病気です。多くは自然に治りますが、傷口が化のうすると長引くので、最初から抗生物質を使った方が安全です。重症化すると結膜炎や脳炎などが起きることもあります」と東京都大田区の小児科医、宮下守医師は説明する。
猫ひっかき病の菌は、猫の血液、口の粘膜、目やになどからも検出されるので、ひっかかれたり、かまれたりしなくても、接触だけで発症することもある。犬猫に限らず、ペットとのキスやえさの口移しなどは人畜共通感染症の危険性がある。もしペットにひっかかれたり、かまれたら、傷口を消毒してすぐ医師に相談しよう。ペットはつめを切り、清潔な環境で飼おう。また家庭内でペットと生活をともにしている人が、原因不明の発熱や体調の異常を感じたら、医師にペットを飼っていることを言うことが、診断の手がかりになる場合もある。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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