【第48回】
海外では発症例…安心できない輸入動物
人畜共通感染症 狂犬病
マンションでマルチーズ3匹を飼っている主婦A子(60)さんは「ウチのワンチャンはお部屋の中だけで飼うので、注射なんていりません」と狂犬病予防接種を受けたことがない。これに対し、感染症に詳しい千葉県鎌ケ谷市の獣医師伊東彰仁氏は「飼い主はぜひ予防接種を」と勧める。
日本では狂犬病予防接種率は推定4割程度しかない。現在、国内に発生がないとはいえ、1度侵入すると、まん延の可能性のある深刻な病気だ。もし狂犬病のウイルスがかまれた傷口から侵入すると、人間、犬、猫などすべてのほ乳類が感染し、発症すると100%死亡する。
人の場合の症状は、初期には風邪をひいたような感じや、かまれた部位の痛みやかゆみに始まる。次第に不安感が強くなり、水を飲むのを怖がるようになる。そして運動過多、錯乱、幻覚、攻撃性などの症状が表れ、やがて麻ひ、こん睡を起こす。発症すれば治療法はなく死を待つのみとなる。潜伏期間は1〜3カ月が多いが、1年以上のケースもあり、最長で7年という記録もある。
日本では狂犬病は57年から発生例がなく、日本で生まれ育った動物にかまれても心配はないとされている。しかし、輸入動物や海外の動物に関しては安心できない。昨年12月に南米のボリビアで、ペルーから輸入されたハムスターから狂犬病が発見されているし、欧米では野生のコウモリにかまれて発症した例もある。
「海外ではむやみに動物に触れないこと。またその国が狂犬病の発生国の場合は、出国前に狂犬病のワクチンを数回接種しましょう」と伊東医師。
犬は飼い主が年に1回責任を持って狂犬病の予防接種を行おう。国内でも、もし動物にかまれたり、ひっかかれたりしたら、すぐに水と石けんで傷口を十分に洗って、医師の診察を受けよう。特に輸入動物などにかまれた時には、念のためすぐ受診をした方がいい。人間の場合、かまれた直後の狂犬病ワクチン接種と、その後90日間に計6回の接種で発症が予防できる。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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