【第5回】
遺伝子検査で1時間以内にSARS判別
有効な治療法も検査法もないといわれる新型肺炎(SARS)。その原因であるとされるコロナウイルスを、1時間以内で判別できる検査キットが開発され、販売申請に向けて動きだしている。
この検査方法は厚生労働省と文部科学省の合同研究班などが、国内メーカー栄研化学(東京)の技術を応用して開発を進めてきた。栄研化学が日米で既に特許をとっているLAMP法と呼ばれる技術を活用したものだ。
LAMP法とは、ウイルスや菌などの病原体が持つ遺伝子に、ある化学的条件を与えて、増やすことで、病原体の有無を判定する「遺伝子増幅法」と呼ばれる検査法だ。従来のウイルスや菌自体を培養する方法とは違う。
「人間と同様、病原体にも遺伝子があります。遺伝子はその生物を特徴づけるものです。遺伝子配列の特徴ある部分が、増えるような処理をし、それが増えれば陽性、増えなければ陰性と判断できます」と栄研化学の広報部長、山崎久志氏は説明する。
LAMP法は既に、一辺が10センチほどの小箱に入った検査キットとして、レジオネラ菌やサルモネラ菌、0−157の検出にも実用化されている。
「SARSの検査についても開発には成功していますが、販売申請には多くのデータが必要です。世界にもわずか8000人しか患者がいません。ウイルスのサンプルの保存状態が各国でまちまちであることなどから、サンプル収集が難しいことが問題です」と山崎氏は実情を説明する。
この検査法なら、患者の血液などを採取し、試薬を入れ、専用の機械で20分保温するだけだ。臨床検査技師がサンプルの結果を目で見ても陽性、陰性が明確に判断できるという画期的なものだ。他の検査法と比較して、コストが安く、測定装置もコンパクトだ。
空港などでも威力を発揮しそうな検査方法。この冬の実用化が世界中から期待されている。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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