【第51回】
日頃の地道な対策が大切
院内感染防止
27日、中国の衛生省は広東省で一般市民に新型肺炎(SARS)の疑いがある入院患者が出たと発表した。日本人にとっても不安がつのるニュースだ。
しかし、パニックになる必要はない。SARSは香港、ベトナム、カナダなどでの流行時の調査が報告され、初期症状の場合には感染力が低い飛まつ感染であり、病院での適切な感染症予防対策が有効だと分かっている。せきをする時にはハンカチで口を押さえる、マスクの着用、手洗いの徹底、規則正しい生活で抵抗力を保つようにしよう。
「市民も病院も日ごろの地道な感染予防対策が大事です」と話すのは、感染管理コンサルタントの柴田清氏。「SARSだけに感情的な対策をつくるのは無意味。海外から、動物や昆虫が媒介する感染症が上陸したり、バイオテロさえあり得る時代ですから…」とその指摘は冷静だ。
しかし現在、日本でもしSARSが発生した場合、各地の病院では「患者は他の患者に接触しないよう別の入り口から入る」「患者が入院した場合に、ケアにあたる看護師は病棟から出ない」などの対策がシミュレーションされている。これに従うと患者になると、心身ともに相当なダメージがありそうだ。
これに対し柴田氏は「人は健康な時には、病人の立場を想像するのは難しいが、感染症は病気であり、被害者も加害者もありません。差別的で感情的な対策より、すべての感染症と同様に、日ごろの感染管理の徹底が大切なのです」と強調。「病院のトイレなどの衛生管理や医師や看護師がよく手を洗っている姿を見るといった簡単なことからも、院内感染症防止対策への姿勢は判断できる」と話す。
自分の通う病院に感染症科があるか、感染症専門医がいるか、院内感染対策の取り組みについても関心を持とう。信頼できる家庭医を持ち、緊急時には相談ができる態勢を日ごろからつくっておこう。
【ジャーナリスト 月崎時央】
|