【第9回】
禁煙でノドの掃除機能回復
インフルエンザ3
「おかえりー。うがいと手洗いをしなさーい。インフルエンザになっちゃうよお」。この季節、K君(12)が学校から帰ると、お母さんは毎日こう言う。ところが最近少し理屈っぽくなってきたK君は、こう切り返したのだ。「帰ってくるとすぐ、うがいっていうけど、朝から教室でせきをしてるやつがいっぱいいるのに、今ごろうがいしても間に合うのかよお?」。
「うーん確かに…。ウイルスを吸い込んでから5時間後のうがいは有効?」お母さんは、答えにつまった。
「インフルエンザウイルスは、飛まつ感染といって、せきなどで飛んだウイルスがどこかについていて、それが人の手によって口に運ばれます。口に入ると20分足らずで粘膜に取り込まれるという報告があります。うがいも大事ですが、手洗いの方が、ウイルスが口に入るのを防止する点で確実です。また、せきをしている人がマスクを着用するエチケットも大切です」と説明するのは、新潟県立六日町病院麻酔科の市川高夫医師だ。
しかし、冬の病気はインフルエンザばかりではない。「うがいは、ウイルス以外の細菌などに効果があります。口の中や気道に付着した菌は気道の繊毛運動や粘液で、徐々に口の方に排出されてくるのです」(市川医師)。
繊毛運動というのは聞き慣れない言葉だが、これは私たちのノドの自動掃除機能のことで、汚いものやばい菌などを痰(たん)として口の外に出してくれる。「ところが排気ガスやたばこの煙はこの繊毛運動を邪魔します。例えば1本のたばこでこのデリケートな繊毛運動が3日間も働かなくなるというデータもあります。愛煙家であれば、まずたばこをやめて、繊毛運動を正常にすることが先決です」と市川医師。
手洗い、うがいの徹底、そして禁煙も、インフルエンザやSARSなど深刻な感染症防止につながるのだ。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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