【第35回】
精神的ストレスからめまい
本態性高血圧(上)
心が大きく関係したために病気を引き起こすケースは多い。アパレルメーカーに勤める35歳のB男さんもそんな1人だ。支店長に抜てきされ、とにかく張り切っていた。「他店に負けるな!」と張り切れば張り切るほど、それまではあまり気にならなかった部下の行動が気になり始めた。
店頭での接客の基本は、部下のだれもが学んでおり、しっかり身につけているはず。ところが、部下の言葉遣い、立ち居振る舞いなど、多くの客を獲得してきたB男さんには、すべてが歯がゆく思えてくる。言わなくてもいいのに、気がつくと部下にやかましく注意をしている。多少せっかちな面はあるものの、B男さんは完ぺき主義者なのだ。
支店長になって、約3カ月が経過した。思うように店の売り上げが伸びない。どこに原因があるのか、あそこか、それともあそこかと、寝てもさめても仕事のことが頭から離れない。そんなある日、異常が起きた。部下を厳しく注意しているときに、急に脈拍が速くなり、そのうちにフラフラーッとよろけた。軽いめまいを起こしたのだ。しだいに重くなるようなので、急いで近くの内科を受診した。
高血圧が疑われ、何度か受診するようにいわれた。B男さんはまじめに数回受診した。医師は本態性高血圧で、ストレスが大きくかかわっていると判断。そして、より専門の心療内科を紹介した。
「本態性高血圧の患者さんの中にも、かなり精神的ストレスが原因と思われるケースが見うけられます。心身症とみなせるケースが20〜30%含まれています。B男さんも、その中の1人でした」と、九段坂病院(東京都千代田区九段南)心療内科の山岡昌之部長はいう。
だが、心身症としての高血圧症として心療内科へ紹介されてくるケースは、それほど多くはないという。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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