【第44回】
20、30代の女性に多い
顎関節症(下)
歯科疾患として有名な顎(がく)関節症には、次のような症状を訴えるケースが多い。
▼あごの関節が重い。何となく緊張感が続く。
▼口が開けにくい。物を食べるにも支障がある。
▼口を開け閉めするときに関節部が雑音を出す。コキコキ、カクッカクッ、クリッといった音である。
▼あごの関節部が痛む。
▼頭痛、肩こり、腰痛、めまいなどといった不定愁訴がある。
これらの訴えの中で、3大主要症状といわれているのが(1)顎関節部の疼(とう)痛(2)顎関節の雑音(3)下顎の運動制限である。そして、顎関節、もしくは物をかみ砕くのに必要な咀嚼(そしゃく)筋に障害が出る疾患が顎関節症である。
原因には「顎関節の位置の異常と形態の異常」「咬(こう)合異常」「咀嚼(そしゃく)筋の緊張」「神経筋機構の関与」「精神面」の5つくらいがある。
「かつては、その多くが咬合異常といわれていましたが、今日ではストレス・精神面がクローズアップされ、日本歯科心身症学会では顎関節症も心身症のグループに含められています」と、心身症を専門とする日大歯科病院(東京都千代田区)口腔診断科の後藤實助教授はいう。
患者は10代から60代ときわめて幅広いものの、どういうわけか20代、30代の女性に圧倒的に多くなっている。
検査では原因の5つくらいをすべて疑いながら進めていく。「顎関節自体に異常がある場合は口腔外科に診てもらいます。咬合異常であれば補綴(ほてつ)科です。このような原因がない場合は心因性を考えて心理検査を行います。心因性と咬合異常が重なって起きているときは、補綴科と協力して治療を行います」。
もちろん、顎関節症の場合はこれだけで治療は万全とはいかない。心身症のみならず軽いうつ状態、さらには神経症が多く、重症では「かむ位置が分からない」と患者さんが訴えることも。このようなケースでは精神科医とのリエゾンで治療が進められていく。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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