【第60回】
パートナーの態度も大事
心因性ED(3)
30代のCさんは、結婚してから5年を経ても、待望の子供に恵まれなかった。夫婦で婦人科を受診して検査を受けたものの、身体的な異常はなかった。医師から「排卵日ごろに、3日間続けてセックスをするように」とアドバイスされた。
子供を切望する妻は、排卵日になると医師の指示どおりに、夫に3日間セックスを求めるようになった。が、そのころから、Cさんは性行為に失敗するようになってしまう。勃起(ぼっき)はしても挿入時になえてしまうのだ。
せっかくの「排卵日」も、これでは台なし。妻の落胆ぶりは大きく、その様子を見るにつけ、Cさんの受けるプレッシャーはますます大きくなり、性行為ができなくなった。「排卵日」と聞くだけで、なえしてしまうほどに。
1年が過ぎたころ、妻の提案で2人でED(勃起障害)治療を受けることにした。バイアグラとカウンセリングの治療を受け、医師からのアドバイスで2人で久しぶりに旅行へ。すると、Cさんは見事に復活。ほどなく妻は妊娠し、ED解消と子宝に恵まれた喜びを2人でかみしめたという。
「EDが原因で子供ができないカップルは、男性不妊患者の20%くらいいます。また、子づくりが性交の目的になり、雰囲気のない性行為を繰り返すとEDになる男性も多くいます。性行為時には雰囲気づくりに気をつけるべきです」と、東邦大医学部泌尿器科学第1講座の永尾光一講師(日本性機能学会評議員)は言う。
Cさんの場合も、妻が「排卵日」にこだわりすぎたあまり、心因性のEDになってしまった。EDの原因は、本人だけでなく、パートナーの態度にかかわることがある。
「女性は何もしないでいいという態度や、毎日するのが当たり前といった考え方、あるいは、男性は激しいのが好きなのに女性はやさしくされたいなど。パートナーとのセックスに対する違いが、心因性のEDに結びつくことがあります」。
雰囲気のないセックスも、EDの引き金になるのである。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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