【第74回】
ストレスに敏感な循環器系
狭心症(心身症)
ストレスは心に大きく影響を及ぼし、身体疾患も引き起こせば、心の病も引き起こす。ストレスが極限となると、突然死も起こってしまう。
証券会社に勤めるA男さん(52)は、国際部門の管理職。国際化が生みだした部門で、眠ることを知らない。
ニューヨーク、東京、ロンドンを中心に株式市場、為替は刻一刻と変化する。それに機敏に対応することが証券会社の場合は大きな損益にかかわってくる。
A男さんは株式の取引のプロ。そんなプロにも魔が差すことはある。
ある日、取引の株式数をコンピューターに打ち込み、やれやれと一息入れ、何げなくコンピューターの画面に目をやってびっくり仰天。取引する株式数がひとケタ間違えていたのだ。「間違いだから」と、訂正できるなら驚かない。この取引は変更がきかないから大変なのである。
A男さんの血圧は一挙にドーンとアップ。胸がしめつけられるように痛い狭心症の発作を起こして倒れてしまった。病院にすぐに運び込まれ、幸いにもA男さんは一命をとりとめた。
重症の不整脈では心臓が心室細動を起こし、突然死に結びつくことが多い。
A男さんの場合は、これまでに経験したことのないミスが、計り知れないストレスとなって襲いかかった。そのときに狭心症を引き起こしたのは、実は循環器系はストレスに敏感すぎるほどの臓器だからだ。
A男さんの場合は狭心症を引き起こしたが、狭心症ではなく急性心筋梗塞(こうそく)に結びつくケースもある。
とにかく、循環器系はストレスを敏感に反映するとあって、ストレスの管理には十分気をつけないと突然死≠ェひとごとではなくなってしまう。
ちなみに、兵庫県立淡路病院の報告では、阪神大震災直後に急性心筋梗塞が増加したという。95年1月17日から1週間に、急性心筋梗塞で運び込まれた人が、過去3年間の同時期と比較すると約3倍にも達していた。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
|