【第78回】
興信所に自分の調査依頼
セルフナーバス症候群
リストラが静かに、静かにビジネスマンに忍び寄っている時代。自分の周囲から、1人また1人とリストラで消えていくと、誰でも「次は、俺かも…」と思い悩んでしまう。
そうなると、自分は他人からどう思われ、どう評価されているか気になってしまう。それが高じると、ついには興信所などに調査を依頼するようになってしまう。もちろん、他人の調査ではなく、自分自身の調査である。
「これを『セルフナーバス症候群』と呼んでいます。主に自意識過剰な人に多く見受けられます」と、初台関谷クリニック(東京都渋谷区)の関谷透院長は分析する。
機械メーカーに勤めるC男さん(43)は課長になって5年。出世は早い方だが、ここへきてなかなか次長の声が掛からない。そんなときに、C男さんの頭に「リストラ?」の言葉が浮かび、次第に大きくなっていった。
そして、「会社は私のことをどう思っているのか…」と、どんどん気になり始め、ついに興信所に調査を依頼した。
2週間後に報告された調査書には、「可もなし、不可もなし」と。
喜ぶべきはずなのに、C男さんは築いてきた自信を喪失してしまい、すっかり落ち込んでしまった。ささいなことにいら立ち、周囲の人々にもあたるようになった。
このような変化にC男さんの奥さんが気付いて関谷院長のところへ。
「セルフナーバス症候群を引き起こすのは、他人の目をあまりに気にする自意識過剰な性格の人です。この性格を少しずつ変えていくようにしなければなりません。治療はカウンセリングが中心になります」。
C男さんは、出世しよう、他人より抜きん出ようとする意識が強く、それで自信を得ようとしていたのだ。
「さまざまなことに挑戦し、視野を広げ、無理のないライフスタイルを見つけるようにアドバイスしました。そうなってくると、自信も湧き、周囲の目も必要以上に気にしなくなるのです。自分はどうしたいのか、周囲に惑わされずに明確にすると、生き方に自信がつくのです」。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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