【第22回】
気づかずに治るケースも…
良性発作性頭位めまい症(上)
めまい症状は誰でも経験がある。しかし、周囲がぐるぐる回る感覚が襲い、嘔吐(おうと)感まであると心配になってくる。良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、そんな症状が特徴。聞き慣れない名前だが結構、多い病気なのである。
日大医学部付属練馬光が丘病院耳鼻咽喉科の科長を務める生井明浩・同大医学部講師は「めまいを伴う内耳系の病気では1番多いかも知れません。寝返りを打ったり、靴ひもを結ぼうとして頭の位置が変わった時、突然めまいが襲ってくるのも特徴です」と説明する。
めまいを伴う耳の病気というとメニエール病が有名だが、同病を1とすると、BPPVは数十倍単位で多い。海外の疫学調査では、めまい専門病院に来院した患者の17〜18%がBPPVと判明した、との報告がある。
めまいは通常、平衡感覚をつかさどる器官の異常から起こる。平衡感覚系は、内耳の前庭と呼ばれる部分(三半規管、耳石器)→前庭神経→脳幹→小脳、大脳とつながっている。このどこかに異常があると、めまい症状が表れる。
前庭・前庭神経が原因のものを末梢(しょう)性めまい、脳幹・小脳・大脳が原因のものを中枢性めまい、という。そのほか、心因性のめまいもある。
前庭には耳石と呼ばれる石のようなものがある。その下には感覚毛(平衡毛)がある。頭が傾くと耳石が動き、それを感覚毛が感じ取って傾きに関する情報を脳に送るのである。
「耳石の一部が何らかの原因ではがれ落ち、三半規管の中に入ることがBPPVを起こす理由と考えられています。頭の位置が変わった際、中に入った耳石も動きリンパ液の流れを乱すと、めまいが起こるわけです」(生井講師)。
めまいはほんの短時間、長くても30秒程度なのもBPPVの大きな特徴。問診や検査(眼振検査)で診断がつきやすい病気でもある。離れた耳石が元に戻ると治るので、BPPVに気づかないケースもある。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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