【第28回】
ストレスの上昇で痛み増す
腰痛症(上)
腰の痛みに悩む人は実に多い。少し古いデータになるが、旧厚生省がまとめた国民生活基盤調査(平成元年)によると、腰痛を訴える人の数は450万人に及んでいる。30人に1人は腰痛を気にしていることになる。
腰痛を招く3大原因は骨格、筋肉、血行の異常といわれるが、日本体育協会公認ドクターでもある中原英臣・山野美容芸術短大教授は「原因が特定できない腰痛症が8割以上を占めています。腰痛の代名詞ともなっている椎間板(ついかんばん)ヘルニアも全体の1割程度です。腰痛にはそれだけ原因がたくさんあるということです」と説明する。
腰痛症はレントゲン撮影をしても異常が発見されず、内臓疾患もない腰痛の総称として使われている。直立歩行をする人間。腰は全体重の6割を支えているとされる。特に腰痛の訴えで多いのが第4、第5腰椎とその周辺。上体を曲げる時、負担が一番かかる部分だ。椎骨の間でクッション役をしている軟骨(椎間板)が飛び出す(ヘルニア)こともある。
筋肉には骨格を補強する役目がある。腰椎は肋骨(ろっこつ)の支えがある胸椎などと違い、腹筋と背筋で前後から支えられている。それだけに筋肉の衰えは腰痛につながる。
「筋肉は特別に鍛えなければ、20歳から1つ年を取るごとに1%ずつ落ちていきます。40歳なら20%ダウンの状態。中年以降は腰痛の危険性が高い」と中原教授。骨密度も20歳がピーク。以後は下降線をたどる。
血行状態も腰痛の要因。血流の低下は筋肉内の酸素不足をもたらし、痛みを発生させる物質が産生されやすくなる。高血圧症、糖尿病は腰痛を起こすことでも知られている。
痛みという点ではストレスが大いに関係している。椎間板ヘルニアでも、心身のストレスが上昇すると痛みが激しくなるケースが多く報告されている。
「現代人は腰痛になる危険因子に取り囲まれているといっていいでしょう。防ぐ手だてを知っておく必要があります」(中原教授)。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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