【第46回】
潜在患者は500万人以上
COPD(上)
COPD(シーオーピーディー)とは聞きなれない病名だが、慢性的に経過する(Chronic)、気道の内腔が狭くなる(Obstructive)、肺の病気(Pulmonary Disease)を簡略化したもの。慢性閉塞(へいそく)性肺疾患と訳されている。
従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称でもある。60年代からあった言葉なのだが、最近になって専門医の間で使う頻度が多くなってきた。
昨年12月、日本で初めてCOPD治療の専門医療機関として開設された日本医科大学呼吸ケアクリニック(東京・千代田区)の所長を務める木田厚瑞・日本医科大内科学教授は「SARS(新型肺炎)のように認識が広まってほしいとの思いがあります。最大の理由は潜在患者は多いのに治療を受けている人が少な過ぎるからです」と説明する。
厚生労働省の患者調査ではCOPDの治療を受けている人は22万人いるが、疫学調査からは500万〜700万人の潜在患者がいると推定されている。糖尿病並みの患者数なのだが、健康診断の検査項目に入っていることはほとんどない。
COPDは空気の通り道である気管支、その先にある肺胞などが慢性の炎症を起こし、肺への空気の出入りがうまくいかなくなることから起こる。急に発病することはなく徐々に進行し、多くは中高年になって発症する呼吸器系の病気である。
「COPDにつながる最大の危険因子はタバコであるという問題があります。患者の95%は喫煙者です。日本人で最も喫煙率が高い年代は男女とも20歳代。特に女性では年々、喫煙率が上がっているだけに心配です」と木田教授。
酸素を体内に取り込み、二酸化炭素を体外に排出する働きをしている肺胞は両肺に3億〜5億個あるが、1度壊れると再生しない。それだけにCOPDが体に与える影響は大きい。WHO(世界保健機関)の統計ではCOPDは世界の死亡総数の4位を占めている。
「COPDは早期発見、早期治療が何より肝心です。そのためにも関心を持ってほしい」と木田教授は強調する。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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