【第74回】
日本人に多い近視も危険因子
緑内障(中)
緑内障は目の奥にある視神経の眼球から脳に向かっていく部分(視神経乳頭部)が障害されることで起こる。視神経が障害される理由はいくつかあるが、緑内障では眼圧(眼球を丸く保つ圧力)との関係が深い。眼圧が高くなると視神経が圧迫されるからだ。国際的な基準値があり、10〜21ミリHgの範囲が正常眼圧。21を超えると緑内障になる危険性が大きくなる。
緑内障診療ガイドラインの作成委員会の委員長を務めた阿部春樹・新潟大大学院教授は「眼圧は角膜の内側を流れる房水が影響を与えます。房水は通常、一定量に保たれていますが、排出がうまくいかないなどが原因で眼内にたまると眼圧が高くなります」と説明する。
房水は毛様体と呼ばれる組織で産生され、隅角(ぐうかく)から排出される。隅角がふさがれたり(閉塞隅角)、閉塞はしていないが房水の流れが悪くなる(解放隅角)と眼圧が上昇し、緑内障に進んでいく。老化とともに眼圧を保つ仕組みは衰えるため、加齢は緑内障の危険因子になる。
ただ眼圧は正常範囲に収まっていても、緑内障を起こしている場合がある。正常眼圧緑内障と呼ぶが日本人には結構みられる。「多治見市での最新疫学調査では、高眼圧の解放隅角緑内障が0・32%だったのに対し、正常眼圧緑内障は3・60%と11倍近くの差がありました。外国の専門家は驚いています」と安部教授はいう。
正常眼圧は欧米人のデータを元にしているという理由もあるが、安部教授は日本人に多い近視も緑内障の危険因子になっているとも考えられるという。近視は眼球が前後に長くなったことで起こるタイプ(軸性近視)がある。「眼球が長くなることで神経も引っ張られ細くなります。その分、視神経を支えて保護している組織が弱くなって視神経に障害が起きやすくなる、と考えられるわけです」と阿部教授。強度の近視だった人に緑内障が多いことは臨床的に知られている。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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