【第75回】
自覚症状なし年に1度検査を
緑内障(下)
緑内障の治療は眼圧を低くコントロールすることが主眼になる。眼圧が正常範囲にある正常眼圧緑内障でも眼圧を下げることで病状の進行を抑制する効果があることが分かっている。
緑内障診療ガイドラインの作成にあたった阿部春樹・新潟大大学院教授は「障害された視神経は修復できないので、いかに進行を抑えるかが治療の目的になります。眼圧が下がったからといって治療が終わるわけではありません。その後も眼圧をコントロールする必要があります」という。
治療法は薬物療法、レーザー治療、外科手術があり、いずれも眼圧を下げるためのもの。症状、緑内障のタイプによって選択される。痛みのある急性緑内障に対しては応急処置も施されるが、長期にわたる治療が必要になるだけに患者側も病状や治療の意味をきちんと知ることが重要になる。
点眼薬や内服薬を使用する場合、決められた通り実行するかも大切。いくつかの薬を併用することもある。「過剰な点眼が全身的な副作用を起こすなどの問題が出ています。治療を成功させるには患者さんの協力が得られることが必須条件です」と阿部教授は強調する。薬の効果には個人差もある。
緑内障は加齢も発症要因となるだけに、これといった予防対策はない。早期発見による進行の抑制が最良の対応策である。近年、緑内障の診断と治療の進歩は目覚ましいものといわれている。新しい診断機器や治療手段が数多く導入されている。米国では視神経保護薬を投与する治験が行われている。
「治療法は進歩しています。眼圧下降以外の手段も開発されてきています。緑内障に関する現状の大きな問題点は、自覚症状がないため治療を受けていない人が多数いると思われることです。40歳を過ぎたら年に1度は定期検査を受けることを繰り返し訴えたい」と阿部教授。高齢社会ではQOL(生活の質)、ADL(日常生活行動能力)は大切な要素。緑内障の早期発見は重要なポイントになる。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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