【第77回】
予防治療で死亡、後遺症も
くも膜下出血(中)
くも膜下出血の治療では、再出血の予防処置が重要となっている。出血が一時的に止まっても、しばしば再出血を来し、状態を悪化させるためだ。それを防ぐために取られる方法が予防治療に応用されている。
「この病気は脳外科をまず受診してください。脳動脈瘤(りゅう)の根元を金属製のクリップでつまみ、動脈瘤への血流をふさぐ方法と足の付け根の動脈からカテーテル(細い管)を動脈瘤の部分まで送り込み、プラチナ製のコイルを瘤(こぶ)の内部に詰め込んでしまう血管内治療があります」と福生吉裕・(財)博慈会老人病研究所(東京・足立区)所長は説明する。
欧米では局所麻酔ですみ、体への負担が少ない血管内治療(動脈瘤そく栓術)が選択されることが多い。開頭手術となるがクリッピング手術は、長年行われているだけに治療法が確立している利点がある。動脈瘤のある場所でどちらの方法も適さないケースもある。
くも膜下出血に関しては、日本脳神経外科学会が「科学的根拠に基づくクモ膜下出血診療ガイドライン」を作成している。クリッピング手術と血管内治療の選択については、患者ごとの全身状態、脳動脈瘤の部位・大きさ・形などを考慮して考える必要がある、としている。
無症状の脳動脈瘤を放置した場合、破裂する割合は1年間に約1%とされている。予防治療による死亡・後遺症が全くないわけではない。日本脳ドック学会では昨年、予防手術による死亡率は1%以下、後遺症は約5%に残るとの推定値を出している。
「くも膜下出血は死亡率の高い病気です。予防治療は有益ですが、後遺症などで治療前より体調が悪くなったら納得しにくいかもしれません。正確で詳しい説明を受けるとともに自ら決定する気持ちが必要」と福生所長は言う。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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