【第80回】
白癬菌は至る所に存在する
水虫(中)
水虫はなかなか治らないというイメージがある。原因となる白癬(はくせん)菌(カビの一種)は、皮膚表面の角層(角質層)で増殖するが、その下までは侵入できない。
帝京大学医学部医真菌研究センター教授も兼ねる渡辺晋一・皮膚科主任教授は「角層の下は免疫機能が働き、白癬菌は白血球などに撃退されてしまいます。逆に角層は死んだ組織といえるものなので免疫機能が発揮されません。そのため治りにくいという面があります」と説明する。
では治らないのか、というとそうでもない。治療薬として白癬菌が細胞膜を作るのを阻害し、殺菌作用もある薬が開発され、一般薬としても認可されている。水虫を完全に退治することは可能になっている。
それでも患者数が減ったという話は聞かない。水虫と診断され、処方された外用薬(塗り薬)を患部に塗れば4週間で白癬菌はいなくなる。「かゆみなどの症状は2週間ほどで治まります。そこで治療を止めてしまう人も多いのですね。完全に治していないから水虫が減らないという結果を招いています」と渡辺教授。
白癬菌は至る所にいる、という現実も水虫を再発させやすい理由になっている。角質は新陳代謝により垢(あか)となって落ちる。白癬菌も一緒にばらまかれる。同居家族に水虫の人がいるなら家族全員が治療を受けた方がいい。
全国の皮膚科専門医が参加した実態調査では、ゴルフをする人も水虫にかかりやすいタイプに挙げられている。米国でも同様の調査があるが、ゴルフをすることの感染リスクは指摘されていない。「日本の場合、ゴルフ場の風呂場の足ふきマットから感染するケースが多いのですね。銭湯やサウナ、温泉も同じで不特定多数が使う足ふきマットは100%、白癬菌がいると考えて間違いありません」と渡辺教授。
命に別状のある病気ではないが、たかが水虫と思っている限りは治らないかも知れない。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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