【番外編】
「解消」ではなく「コントロール」
ストレス病
ストレスは現代の悪役である。主役か脇役かは別にして、すべての病気にかかわりがあるといっていい存在だ。ストレス解消=健康は、当然の等式に思えてくる。しかしストレス学者にいわせると、こんな等式は考え違いも甚だしいらしい。以下は、ある精神医との対話。
−−ストレスとは何。
「ストレスがある状態とは医学的には交感神経が緊張していることを指す」。
−−どうなります。
「副腎からアドレナリンが分泌され、戦闘体制に入る」。
−−戦闘体制?
「血糖値が上がって戦闘に必要なエネルギー源となるブドウ糖をより多く脳と筋肉に運ぶ。早く送るため血圧も上がる」。
−−そのシステムが健康を損ねる元凶か。やはりストレス解消は大事だ。
「そう簡単に結論は出さないこと。適応しようとして引き起こされるのがストレスの正体と考えたまえ。戦いが必要な時、緊張しないでどうする。すぐ死んじゃうよ。リラックスのし過ぎも問題がある」。
−−副交感神経の働きは免疫力を上げるはずでは。
「1を知って2を知らない典型だね、君は。確かに抗体反応に関係するリンパ球の数が増える。しかしむやみに抗体反応が活発化すると何が起こる?」。
−−アレルギーですか。
「さすが1は知っている。最近アレルギーが増えたのは、乳児の時にリラックスし過ぎる環境が招いた弊害ともいえる」。
−−甘やかし過ぎですか。
「赤ちゃんにとって泣くことがストレスになる。すぐあやすからストレスが不足している」。
−−それが2ですか。
「ワンマンと呼ばれる人物は現役を引退したり、辞任に追いやられたりすると急に健康を害する例が多い。何でも思うようになるからストレスは解消しやすい。でも本当の危機に弱い」。
−−2が分かりました。ストレスは解消するものでなくコントロールするもの。
「正解。耐えられるストレスをまず知ることが大事。解消策ばかり気にしているとストレス病になるよ」。
【ジャーナリスト 小野隆司】
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