【第39回】
褐色脂肪細胞の働き2倍に
肥満(3)
麻黄(まおう)に含まれるエフェドリンが、サイクリックAMPという情報伝達に働く物質を活性化させることで、褐色脂肪細胞が勢いづき、どんどん脂肪を燃焼させる。さらに、連翹(れんぎょう)、荊芥(けいがい)、甘草(かんぞう)という3つの生薬が、サイクリックAMPの分解を阻害して、褐色脂肪細胞が脂肪を燃やす勢いが持続される。
これが、京都市立病院糖尿病・代謝内科の吉田俊秀部長が、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)が体重を減らす仕組みとして、考えた仮説だった。実際にこの仮説を証明するために、ネズミで実験が行われた。
漢方の専門家は、「証」(漢方的な体質)に合わせて漢方薬を処方するが、今回は証と関係なく防風通聖散の効果をみることも目的だった。ネズミの実験ならば、手慣れたもの。まず薬で人工的に肥満ネズミをつくり、一方には普通のエサ、もう一方のグループには同じエサに防風通聖散を混ぜて与えた。
その結果、「どちらのネズミも食べる量は同じでしたが、2カ月後、防風通聖散を混ぜたエサを与えていたネズミは明らかに体重が減少していました」。同時に体脂肪量も減少していた。体の水分などが減少したのではなく、脂肪が減少してやせたことが確かめられたのである。それも、何の食事制限もなしに、薬をのんでいるだけでやせたことになる。
調べてみると、褐色脂肪細胞の働きが2倍も高まっていることが分かった。その結果、脂肪がどんどん熱に変えられ、体重が減ったと考えられたのである。つまり、防風通聖散は褐色脂肪細胞の働きを高めて、熱の産生を増やし、体重を減少させることが分かったのである。
麻黄に含まれるエフェドリンの量を調べた結果、「漢方薬の服用量から計算すると人間は1日22〜23ミリグラムのエフェドリンを摂取することになる」のだそうだ。エフェドリンは交感神経の働きを高めるので、あまりに量が多いと害になることもある。しかし、これならば安全性も問題はないそうだ。
【ジャーナリスト 祢津加奈子】
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