【第40回】
酵素の働きを抑え脂肪燃焼援助
肥満(4)
京都市立病院糖尿病・代謝内科の吉田俊秀部長は、ネズミの実験で、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)をエサに混ぜると、それだけでやせることを明らかにした。麻黄に含まれるエフェドリンがサイクリックAMPという物質を活性化して脂肪を燃やす褐色脂肪細胞の働きを高めるためだ。
では、サイクリックAMPを分解する酵素を阻害する働きはどうなのだろうか。普通は、この酵素によってサイクリックAMPが壊れ、すぐにその効果が消えてしまう。連翹(れんぎょう)、荊芥(けいがい)、甘草(かんぞう)という3つの生薬はこの分解酵素の働きを抑えるとされている。ネズミで調べると「カフェインもこの分解酵素の働きを抑えるのですが、3つの生薬はカフェインの2・5倍も酵素の働きを抑える力が強いことが分かったのです」と吉田部長。カフェインに換算すると200ミリグラムに匹敵する強力な力で酵素の働きを抑えていたのだ。
つまり、防風通聖散は、麻黄に含まれるエフェドリンが褐色脂肪細胞を活性化してどんどん脂肪を燃やし、他の3つの生薬がその状態を維持することで、強力に体重を落とすことが分かったのである。
実際に、吉田部長は防風通聖散の体重減少効果は、この4つの生薬が中心であることも立証している。ネズミに一方はエフェドリンだけを混ぜたエサ、もう一方にはエフェドリンと3つの生薬を混ぜたエサを2カ月間食べさせてみた。すると、エフェドリンだけだと防風通聖散をのませたときの体重減少の5割、これに3つの生薬を加えると9割の体重減少が起こることが分かった。つまり、防風通聖散で起こる体重の減少は、この4つの生薬でほぼ再現できるのである。
では、防風通聖散に含まれる他の14の生薬には意味がないのだろうか。「ストレスも肥満の大きな原因です。こういう人がダイエットをしても続かないのです。防風通聖散に含まれる石膏(せっこう)には精神安定作用があるし、大黄(だいおう)には便秘を解消する働きがある。それぞれに意味があるのだと思います」と吉田部長は語っている。
【ジャーナリスト 祢津加奈子】
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