【第47回】
1〜2種類の薬でカバー
更年期障害(1)
更年期障害は、漢方が最も得意とするところ。婦人科では、昔から漢方を取り入れる医師が多かった。患者の方も、もともと日本人はホルモン剤を好まない傾向がある上、最近ホルモン補充療法の副作用が報告されたこともあって、漢方を希望する人が多いそうだ。
では、なぜ更年期障害には昔から漢方薬が使われてきたのだろうか。大阪医大産婦人科の後山尚久助教授は「更年期障害によって表れ症状は実に多彩で、患者の性格や体質によって千差万別です。西洋医学では診断が難しく、適切な治療薬にたどりつけないこともあります。しかし、漢方的な考え方をすれば、すんなりと説明がつき、適切な漢方薬にたどりつけるのです」と語っている。
西洋医学的には、更年期障害は女性ホルモンの欠乏から自律神経の失調をきたして、さまざまな症状が表れると考えられている。そこからすれば、ホルモン補充療法が一番合理的ということになる。しかし、実際には「女性ホルモンが出ていても症状がある人もいれば、ホルモン補充療法でも治らない症状もあります」と後山助教授。
また、中には消化不良と眠気やだるさを訴える人もいる。西洋医学的には、全く異なる症状だ。しかし、漢方では「脾(ひ)」が悪いと考える。「漢方では、脾は消化機能をつかさどると考えられており、その働きが失調すると気(生命エネルギー)を取り込めず、気虚、つまりエネルギー不足になると考えます」。とすれば、胃の調子が悪くて眠い、だるいというのも納得できる。これには、脾を補う帰脾湯(きひとう)が向くとなるのである。それで、消化器の働きもエネルギーの取り込みもよくなって、胃の調子も眠気も改善されるのだ。
西洋薬ならば、いくつもの薬を使うところを、1〜2種類の薬ですべての症状をカバーできるのも、漢方薬の利点。特に、多彩な症状に次々に襲われる更年期障害では、症状や病気中心ではなく、それを訴える人の全体像をとらえて治療を進めていく漢方薬の利点が大きいというのである。
【ジャーナリスト 祢津加奈子】
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