【第75回】
汗の量で使い分け
風邪(3)
北海道漢方医学センター付属北大前クリニックの本間行彦院長によると、風邪の漢方薬は、ほとんどが体温を上げて風邪を治すものだという。実際には、数十の漢方薬が使われるが、その使い分けのよりどころになるのが、患者の体力(証)と病期だそうだ。
素人が、証を見分けるのは難しいが、本間院長がいい指標になると言うのが、汗。熱が出るけれども汗は出ない人は、中間以上に体力があると考えられる。逆に、熱が少し出ても汗をいっぱいかくという人は体力があまりない、つまり虚証と考えていいそうだ。「感染症で汗をたくさんかくのは体が弱い人。実証の人は汗はかかないのです」と本間院長。
まず、風邪をひいて4〜5日の間は急性期。体力がある人(実証)には、葛根湯(かっこんとう)が向く時期だ。38度以上の高熱が出て、筋肉や関節が痛む場合は、葛根湯よりさらに効果が強い麻黄湯(まおうとう)が向く。つまり、インフルエンザがこれに該当する。
「葛根湯も麻黄湯も体力がある人の漢方薬なので、弱い人には向きません。麻黄は胃を傷めるだけではなく、心臓が弱い人には心筋こうそくなどを誘発することもあるので、十分注意して使ってほしい」そうだ。ただし、この2つの漢方薬は「汗をかいて1日でストンと治ることもあるほど。効果が早い」そうだ。漢方薬をのんで、フトンにくるまって汗をかくというのが効果的。
一方、高齢者など体力があまりない人によく使われるのが、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)。ここに含まれる麻黄と附子、細辛は3つとも体を温める。「高齢者は顔が青くなって、背中にザワザワ寒けがする、氷を背負ったようだと言う人が多いのです。麻黄附子細辛湯をのむと温かくなり、ジワッと汗ばんで風邪が治っていきます」。ポカポカ体が温まって気持ちよく、治っていく。
これは胃にもやさしいので、胃が弱い人にも安心。桂枝湯(けいしとう)もよく使われるが、こちらは胃が悪いときにも使われる漢方薬だそうだ。
【ジャーナリスト 祢津加奈子】
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