【第76回】
時期による薬の選択が重要
風邪(4)
風邪をひいて4〜5日たつと、急性期を過ぎて亜急性期に入る。北海道漢方医学センター付属北大前クリニックの本間行彦院長によると、(1)口の中がネバネバする、苦い感じがするなど口の中の不快症状が出てくる(2)セキが出る(3)食欲も低下する(4)全身がだるい、という4つの症状が出てくるのが、この時期の特徴だそうだ。
こういう時期に入ったら、もう葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)など急性期の薬は効かない。本間院長によると「小柴胡湯(しょうさいことう)を中心に、柴胡剤がよく効く時期」だという。柴胡剤は、現代医学的には、免疫を高めることが動物実験などで証明されているそうだ。
小柴胡湯は、以前慢性肝炎の治療に使われて間質性肺炎が起きたことから、医師の中にも使うことをためらう人がいる。しかし、本間院長によるとこれも誤った使い方、つまり「誤治」が大きな原因だという。「慢性肝炎の治療法は、インターフェロンなど限られているので、小柴胡湯が効くと分かり、多くの医師が飛びついたのです。しかし、小柴胡湯は割合体力がある人に向く漢方薬。慢性肝炎は、慢性の消耗性疾患ですから、それだけの体力がある人は少ないのです。同じ柴胡剤でももっと弱いものを使うべきだったのです」。使い方を誤ると、漢方薬でも大きな副作用が出ることもある。そういう意味でも、漢方の専門医に治療を受けてほしいというのである。
風邪の亜急性期の場合も、小柴胡湯は日ごろ割合、体力がある人に向く。高齢者など体力があまりない人の場合は、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)など、柴胡剤でももう少し弱いものが向くそうだ。「柴胡剤を服用すると普通は3〜4日で治ります。もしそれでもよくならない、長引く風邪の場合は、風邪で落ちた体力を上げる漢方薬が必要になってきます」と本間院長。いつまでも同じ薬を続けず、時期によって変えるのが、漢方薬で風邪を治すコツなのだ。
【ジャーナリスト 祢津加奈子】
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