【第27回】
困っていることを言葉に出す
長期ひきこもり(2)
「ひきこもり」は年々増加しているといわれている。一般に子どもが6カ月以上、家にひきこもり学校や仕事にいかない状態が続いた場合には、親や周囲の人が公的な相談機関などに早めに相談をし、家族だけで抱え込まないことが、よい対処法とされている。
しかし、親が世間体などを気にして次第に家族ごと社会から孤立してしまい、気がつくと、どこにも助けを求められないまま10年、20年といった月日が経過してしまうケースも多い。
「ひきこもりをしている間も、本人の心は、このままじゃいけない、でもどうしていいかわからないと日々揺れていることが多いものです」と指摘するのはひきこもりの若者への支援に詳しい国立・精神神経センター精神保健研究所(千葉県市川市)伊藤順一郎医師。
「社会生活の経験がない場合、働こうにも、たとえば、履歴書の書き方とか、面接で突っ込まれたときに何を言えばいいのかとか、ほとんど具体的な方策が立てられないのです。『この10年何をしていました?』という問いに、前向きに答えたり、うそでもいいから弁解を並べ立てること自体が、莫大なエネルギーが必要なのです。考えあぐねて結局『やっぱりだめだ』とあきらめてしまう事が多い」。
伊藤医師は「回復のために必要な情報というのは、周囲からの励ましやプレッシャーというよりも、日々の小さな暮らしに役に立つ具体的なハウツーや知恵なのです。抽象的な『あるべき』論は、わかっているけど出来ない本人にとっては、ほとんど役に立たないに等しい」と家族にもアドバイスしている。
一般的には、過度な期待をかけずに、家族は家族の普通の生活を営んでいくのがいいとされており、普通の暮らしを維持するためにも、家族が相談機関につながることは意味があり、これが変化のきっかけになることが多い。
「相談機関は徐々に増えてきています。何年ひきこもっていても、相談にくるのが遅いということはありえない。支えあう組織があることを知り、自分達だけではないと感じるだけでも、何かが変わるはずです」とアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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