【第30回】
かかると大変!思春期のはしか
予防接種
都内の高校に通うT君は、日ごろは病気知らずなのだが、風邪のような症状が3日ほど続いて、学校を休んだ。4日目に熱が下がり、登校できると思っていると、再び高熱が出始め、ぐったりとしてしまった。口の中を見ると、白い小さなボツボツがある。びっくりして病院に行ったが、最初に診察した若い内科医は診断を確定できなかった。ベテランの小児科医が診ると即座に「はしか」と診断され、特別な病室に入院させられた。
中・高校生以上になると、体調の悪い時に、内科を受診する人が増えるが、小児科医は、日常的に子どものかかりやすい感染症などの症例に対応している。このため、大人と子どもの間にある思春期の体の病気全般についても、大人の診察を主とする内科医より知識が豊富な場合もある。
T君はその後、全身に発疹(ほっしん)ができ、鼻水、くしゃみが続き、目も赤く充血して目やにが止まらなくなった。高熱も続き、点滴をつけての入院は6日間に及んだ。
実はT君のお母さんは子どものころに、はしかの予防接種を受けさせていなかったのだ。「はしかには有効な治療法はありません。あらかじめ予防接種をすることが大事です」と永寿堂医院(東京都葛飾区)の松永貞一医師は、はしか予防接種率の向上を強く訴える。米国では予防注射が完了していないと、入学許可が出ないほど接種が徹底している。このため、はしかは数えるほどしか発症していない。
幼児だけがかかる病気と思われがちだが、ここ数年、全国の中学、高校、大学などで、散発的なはしかの集団発生が見られる。はしかは、感染力がとても強く予防接種を受けていないと、同じ部屋にいるだけで空気感染する。大人でも、重症化すると肺炎など深刻な合併症をひき起こす場合もある。「思春期の子どもを持つ親は、もう一度、母子手帳の予防接種欄を確認し、もしまだならば是非予防接種をしてください」と松永医師はアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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