【第41回】
まず理解者を味方に
性同一性障害(4)
「自分は性同一性障害ではないかと訴えて相談にくる若者は増える傾向にあるようです」と話すのは「一人ひとりの性を大切にして生きる」の著者である精神科医の針間克己氏(性同一性障害研究会理事)だ。針間医師は体の性と心の性が一致しない障害である性同一性障害の数少ない専門家として、この問題に取り組んできた。
「悩みを持って訪れる患者さんの話を聞くことで、より良い選択を一緒に探すのが治療です。ある意味、思春期の若者の自分探しの手伝いをする部分もあります」。性同一性障害は医療の対象とされ、カウンセリング、ホルモン療法、性別適合手術といった選択肢がある。だが、性同一性障害の診断基準にぴったりとあてはまる典型的な症状の人ばかりではない。
「性別というのは人格の中核となるものです。若者の中には、実は生物的な性別を変更したいのではなく、何かの理由で、現在の自分や自分の性に肯定感が持てない人もいるのです」。このような状態に対して、カウンセリングはその人の子ども時代のこと、現在の困りごと、そして今後をどうするのかを一緒に話し合い、診断とともに今後の方向性を見い出す作業だ。「治療の方針を決めるだけでなく、本当のことを話せる家族や仲間を得ることでも、生きづらさを和らげることはできます。でも性に対してはっきりとした違和感がある場合は、弱くなることはあっても完全には消えないようです」と針間氏は話している。
また「性同一性障害の原因については、生物学的な理由が推測されています。ですから、育て方が悪かったというような、親に原因を求めるような見方はしない方がいいですね」と語る。患者が、家族や友人などに性同一性障害であることを告白することを望んだ時には、それを精神科医に手伝ってもらうのもいい方法だ。「病気の特徴や症状について医学的に正確に話すことが大切です。また一番、若者の味方になってくれるのは、孫を無条件に可愛がってくれるおばあちゃんかもしれません。まず患者さんを快く受け入れてくれる人を味方につけるのが大切ですね」と針間氏はアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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