【第53回】
怖い! ペットボトル症候群
糖尿病(3)
小学校6年生のA君(12)は放課後、自宅近くの公園で遊んでいる時に急に倒れ、救急車で船橋市医療センター(千葉県船橋市)に運ばれてきた。来院時はこん睡状態に近く、血糖値も900ミリグラム/デシリットルと命の危険もある状態だった。A君は身長は150センチと平均的なのに体重が80キロ近くあった。糖尿病性のこん睡であることは、専門医の目から見て明らかだった。
「これは典型的なペットボトル症候群です」と説明するのは同医療センター内科の糖尿病専門医岩岡秀明医師だ。A君の両親はどちらも働いていて、帰宅は毎日遅い。A君は食費として与えられたお金で、清涼飲料水やポテトチップスなどのスナック菓子を買って、ご飯代わりに食べる生活を1年ほど続けてきたのだという。「A君のような食生活によって肥満し、糖尿病になる子どもは増加しています。糖尿病にかかっているのに、インスリンの作用が不足した状態を放置した結果、血液中の酸素が低下した状態になり、脳細胞への酸素供給も滞ってこん睡状態に陥ったのです」と岩岡医師は指摘する。
糖尿病初期症状として親は次のような症状に気をつけたい。
<1>のどが乾いて水や清涼飲料水をしきりに飲む<2>体がだるく疲れやすい<3>トイレが近くなり尿の量が増える<4>異常に食欲がある。
A君は1カ月間入院してインスリンを打ち、回復した。入院中には、保護者を対象にした糖尿病に関する勉強会や食事療法、運動など規則正しい生活リズムを身につけるプログラムなどにも参加して、症状は改善していった。しかし退院後半年ほどすると、通院をやめてしまった。通院を継続するよう電話連絡をしているが、その後の音さたはないという。
糖尿病は慢性病なので、子どもでも1度かかれば、生涯、コントロールが必要だ。放置して病気が進行すれば、血管、神経の障害、腎臓障害、網膜症など深刻な合併症を引き起こす。「親は、正しい食生活を意識し、子どもをこういった生活習慣病から守ってください」と岩岡医師はアドバイスする。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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