【第65回】
同世代で相談し合う性教育講座
保健所
「性に関する誤った情報がはんらんしている」「10代の妊娠中絶が増加している」「思春期の性感染症が急速に広まっている」。泌尿器科、婦人科、感染症科などの医療現場で治療にかかわる専門家は、思春期の青少年たちの性行動やその知識不足が引き起こす問題が、かなり深刻な状況となっていることを指摘する。
「子どもたちの健康を守るためには教育現場での性感染症に関する知識の普及や、コンドームの具体的な使用方法など、積極的な性教育が必要」という専門家の声に対し、教育現場では性教育は依然タブー視されている。また思春期の子を持つ親にとっても家庭で性の問題を語ることには抵抗のある人がほとんどだ。
こういった状況下、同世代の若者たちが同じ目線で性の問題を語ったり、仲間同士で相談し合う仕組みをつくる動きが関心を集めている。岩手県の一関保健所では、夏休みや春休みを利用して「高校生のためのピアカウンセリング(仲間相談)」という性教育講座を実施している。
保健所の1室で行われた講座には地元の高校から30人の男女が参加した。講座を進行するのは看護学校の学生だ。小グループになったり、1つの円になったりしながらの3時間あまりの講座で「性感染症って何?」「コンドームの正しい使い方」「ピルとは?」など、性についての具体的な情報提供や、自分の考えを語るディスカッション、ゲーム、寸劇などが、和気あいあいと進んでいく。参加した高校生たちからは「リラックスできて自分を振り返ることができた」「考えの違う人の意見を聞けた」「学校では教えてくれないことをストレートに聞いた」「中絶した人の話も聞きたい」「男女の恋愛の違いを知りたい」などと感想が聞かれた。
年に5回、このプログラムを実施している一関保健所の保健師及川祥子さんは「参加者は楽しい時間を仲間と共有し、自分や他人について知りたいと思っています。性に関する知識を学ぶ以上に、自分の意見を出したり、他人の考えを聞いたりできる場所を求めているのではないでしょうか」と話している。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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