【第77回】
手術がすべてではない
腰痛(2)
「椎間板ヘルニアといえば、かつては圧倒的に30代から50代に多かった。それが今は10代、20代に増えてきている。特に10代についてそう感じますね」。スポーツ選手やプロのダンサーの来院も多い、あらい治療院(東京・中野区)の荒井政信院長は語る。小さなときから、特定のスポーツのトレーニングを熱心に重ねるあまり、骨格にねじれを生じさせてしまう子どもが増えている。利き手や利き足への過度の負担で全身のバランスを崩してしまうのだ。
「バランスの問題だけですんでいるのなら、まだいいのです。炎症を抑え、ねじれを調整しながら、バランスを戻すために必要な筋肉を鍛えていけばいいのですから」。体を支える全身の骨格は、四方八方に引っ張り合っている筋肉のバランスによって、安定が保たれている。そのバランスの中心にあるのが腰だ。だが、少しずつ負担が重なって腰痛を繰り返していけば、やがて椎間板ヘルニアとなる。椎間板ヘルニアの急性期には、立つことはおろか、動くことさえできない激しい痛みに襲われることも珍しくない。
「腰に負担がかかりすぎると、体が防衛本能として自分を休ませようと、炎症を起こすこともある。そんなときは無理をせず、ひとまず体を休息させてあけることです」(荒井先生)。しかし、急性期の痛みが治まったからといって、その後も適切な治療を行わないでいると、さらに椎間板の変形が進行し、鈍い痛みがでん部からももを通り足先へと移行し、ひどい痛みとなって現れることになる。これが椎間板ヘルニアに伴う座骨神経痛だ。
荒井先生は「椎間板ヘルニアの場合、たとえ整形外科で手術を勧められても、必ずしも手術しか手段がないわけではないケースも多い。特にこれから成長していく子どもの場合、全体のバランスでゆがみを調整するメリットは大きいはずです。ほとんどのプロスポーツ選手は、けがとの闘いを勝ち抜き、克服してきた人たちともいえます。将来の一流の選手を目指す子どもたちにこそ、親御さんはメンテナンスの大切さを教えてあげてほしいですね」と話す。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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