【第88回】
両親が一枚岩で子に接すべき
親子関係(1)
「親に甘えるようにすり寄ってきたり、抱きついたり、思春期の子どもたちはときどき、急に実際の年齢から10歳マイナスした幼児のような行動をすることがあります。こんなとき、親はぜひ快く受け止めてあげてください」と話すのは、長年子どもたちの診療に携わっている柴田小児科クリニック(千葉県市川市)の柴田和子医師だ。
現代っ子は体の成長も早く、10代前半でも大人のように見える子も多い。親もつい「この子は大人。もう育児は終わった」と錯覚してしまいがちだ。だが、思春期前期の子どもたちは、体も心も子どもと大人の間を揺れ動き、とても不安定な状態にある。「思春期前期は生理や精通が始まる第2次性徴に伴う体の急激な変化があり、自律神経の働きもまだ安定的ではありません。精神的にもこれから社会という大海に船出する前に、自分自身を見つめる時期で、大変デリケートでです」。
この変化と混乱の時期に必要なのは、心の内面について相談できる同性の親と、心を許し合える友人の2つだ。家庭の中に安定した人間関係があれば、子どもは対人関係をそこから自然に学び、社会に適応するコミュニケーション力を獲得できる。その一方で思春期は、それまで作り上げてきた安定した親子関係が大きく変化する時期でもある。子供の内面は自立に向けて揺れ動いている。「押し付けがましい援助は慎むべきです」と柴田医師。
思春期の娘が父親を嫌って遠ざかっていくと、悩むお父さんが少なくない。だが、この時期は親と子の性差が親子関係の質に影響していく。娘が父親を、息子が母親を、異性として見て遠ざけようとするのは自然なことなのだ。「だからこそ、思春期の子どもを持つ親は両親が一枚岩となって、役割分担をし、子どもに接するべきです」。
思春期は、子どもたちが自分を吟味する大切な時間だ。親への反抗を表しながら大人の世界に入ろうとしている。「子の親離れ、親の子離れ、この時期は、まさしく親も子もさらに成長をするときでもあるのです」。
【ジャーナリスト 月崎時央】
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