【第120回】
胸腔鏡下手術は翌日食事も可
自然気胸(下)
突然、肺に穴が開き、胸の痛みや息苦しさに見舞われる。まれではあるが、両肺同時に起きたり出血を伴うと、生死にかかわってしまう自然気胸。胸部エックス線検査、CT検査などで診断がつくと、治療方針が決まる。
その治療のポイントを、世界で最も自然気胸の治療が多い日産厚生会玉川病院(東京・世田谷区)気胸研究センター・呼吸器外科の栗原正利部長(51)は次のように言う。「第1は、縮んでしまった肺を元の状態に膨らませる。第2は、今後の再発を防ぐ。以上の2点が治療のポイントです」。
軽症のケースでは自然治癒もあるが、再発を起こしやすいので、基本的には自然気胸は手術治療が望ましい。「今日、治療の主流となっているのは胸腔鏡下手術です」。「胸腔鏡下手術」は全身麻酔下で行われる。胸に2〜3カ所、約1センチの穴を開ける。そこから胸腔内に胸腔鏡のほか、内視鏡用の手術器具を入れ、モニターを見ながら手術を行う。最も易しい例では麻酔時間も含めて手術時間は約2時間程度である。
「胸腔鏡下手術では<1>外見上、傷が目立たない <2> 患者さんの体に与える負担が軽く、術後の苦痛も少ない、ということが利点といえます」。そのため、手術の翌日には歩くことも食事もでき、1週間以内で退院となる。
病変部の癒着が広い場合には「開胸手術」になる場合もある。患者の身体的負担は大きいが再発率は最も低くなる。癒着がひどい、また、患者の肺の状態が悪い場合は「癒着療法」を行うことがある。胸腔に癒着を起こす薬を入れて肺の胸膜と胸壁の胸膜とを癒着させてしまう。こうすることで肺表面の気胸の原因であるブラ(気腫性嚢胞=のうほう)の破裂が抑えられる。「ただ、次にまた自然気胸が起きたときには胸腔鏡下手術は選択できなくなってしまいやすい」。
このほかに手術を希望しない患者さんにはドレナージ法があるが、この方法は再発率が50%以上と高いので、応急処置と考えるべきであろう。
▼ドレナージ法 胸腔に胸腔ドレーンというチューブを入れ、胸腔の空気を抜いて肺を広げる方法。胸腔の穴が塞がって治ることもあるが、原因のブラは残ったままなので再発率が高い。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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