【第121回】
「メッシュ」で再発率低下
自然気胸の最前線
突然、肺に穴が開き、空気が漏れてしまう自然気胸。その治療を最善のものとするには、まずインフォームド・コンセントがしっかり行われないといけない。
日産厚生会玉川病院(東京・世田谷区)気胸研究センター・呼吸器外科の栗原正利部長(51)は、気胸の治療に対し確信に近い持論がある。「次の4つの不安に対して、患者さんに納得できる説明をして、解決して不安を取り除くことが気胸の本当の治療です」。
<1>症状に対する不安−胸痛が突然出現し、呼吸苦が続くこと。
<2>治療効果に対する不安−治療後に再発があり得るのか。
<3>もう一方の肺に対する不安−反対側にも気胸が起こるのでは。
<4>手術に対する不安−手術に伴う苦痛の程度。
「そして、根治性が高くて体への負担の少ない治療法を選択します」。
現在、胸腔鏡下手術が基本だが、施設によって再発率に大きな差がある。再発率の平均は10〜15%、高いところは25%にもなる。だが、同気胸研究センターではわずか3%という最高の成績を挙げている。それを可能にしている1つの方法が「メッシュ」による付加的治療である。
胸腔鏡下手術は全身麻酔で行われる。胸に2〜3個所、穴を開ける。穴は1センチ程度。この穴から胸腔鏡と医療器具を入れ、モニターを見ながら自動縫合器などを使って手術を行う。普通はここで終わるが、栗原部長らは自然気胸の原因であるブラ(気腫性嚢胞=のうほう)を切除後、患部に酸化セルロースで作られたメッシュを張る。さらに、メッシュの上にフィブリン糊を塗る。胸膜が強化され、再度ブラができることがあっても破れるのを防いでくれるのである。
「また、ブラができやすい肺の表面を電気凝固やレーザーで焼くことがある。肺の表面が熱で変性して硬くなりブラができにくくなるのです」。退院後はデスクワークの人ならすぐに職場復帰は可能。体を使う仕事の人は退院後1週間は休んだ方が良いという。
▼ブラ(気腫性嚢胞) 肺に穴の開く自然気胸は、肺の表面にできる風船様肺組織が破れるからである。その風船様肺組織をブラという。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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