【第131回】
動脈硬化から心筋、脳梗塞に
高脂血症(上)
“血液ドロドロ”“血液サラサラ”といった言葉がよく使われている。この血液ドロドロといわれるのが「高脂血症」である。
「血液中の脂質のコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)のどちらか一方、もしくはその両方が増え過ぎた状態です」。高脂血症の診療でよく知られる品川イーストワンメディカルクリニック(東京・港区)の板倉弘重理事長(68=茨城キリスト教大学教授)は言う。
悪者のように思われているコレステロールや中性脂肪だが、本来なくてはならないもの。コレステロールは細胞膜の材料や性ホルモンなどの原料になる。また、中性脂肪は脂肪細胞に蓄えられてエネルギー源として使われる。
このように重要なコレステロール、中性脂肪であっても高脂血症となるとさまざまな悪さをひき起こすことになる。「最も問題なのが、動脈硬化を促進させる点です」。
悪玉といわれるLDLコレステロールが血液中に増え過ぎると血管壁に入り込む。この血管は内側から内膜、中膜、外膜の3層になっており、内膜の表面はレンガを敷き詰めたような内皮細胞でコーティングされている。悪玉LDLは内皮細胞から内膜の中に入り込んで酸化される。この変性LDLを白血球の一種のマクロファージが食べて泡沫(ほうまつ)細胞になる。
その泡沫細胞や破裂した泡沫細胞が集まって脂質プラークを作ってしまい、血管を狭くする。プラークの中は粥(かゆ)状になっていて非常に破れやすい。そのため血栓ができやすいのである。
「動脈硬化が進行して破れやすい脂質プラークが破れると、どっと血栓ができて血管が詰まってしまいます。これが冠状動脈で起きると心筋梗塞(こうそく)、脳動脈で起きると脳梗塞です」。高脂血症は動脈硬化を促進させて心筋梗塞、脳梗塞に結びつく。だから「高脂血症は治療を」と、いわれているのである。
▼高脂血症のタイプ 3つのタイプがある。<1>コレステロールの総量が多い「高コレステロール血症」<2>中性脂肪が多い「高中性脂肪血症」<3>コレステロールと中性脂肪の多い「混合型」。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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