【第139回】
50代以上は年に1回CTを
胸部大動脈瘤(上)
心臓や血管の病気には、突然死に結びつくものが多い。その1つに、大動脈に瘤(こぶ)ができる「大動脈瘤(りゅう)」がある。血管の病気だ。
では、その大動脈の走っている場所を紹介しよう。血液は心臓の左心室から送り出され、大動脈を通って全身に運ばれる。まずは、いったん上行大動脈で上昇し、弓のように180度カーブしている弓部大動脈を通過。この弓部大動脈で頭頸(けい)部や腕へ行く動脈が枝分かれし、カーブ後は下行大動脈そして、腹部大動脈となって多くの動脈が枝分かれしていく。
この上行・弓部・下行大動脈に瘤ができると「胸部大動脈瘤」、腹部大動脈に瘤ができると「腹部大動脈瘤」という。瘤のできる場所が胸部と腹部にまたがることもある。この場合は「胸腹部大動脈瘤」と呼ぶ。
「瘤というと、ほとんどの方が嚢状(のうじょう)、つまり、袋状の瘤を思い描かれます。そのタイプと、もう1つ、血管が全体的に膨らむ紡錐(ぼうすい)状があります」と大動脈瘤の治療を得意とする川崎幸病院(川崎市幸区)大動脈センターの山本晋センター長(45)は言う。「血管の直径が胸部大動脈で5センチ、腹部大動脈で4センチを超えると手術の適応となります」。
手術適応を超えると瘤が大きくなるに従って破裂リスクがアップしていく。「胸部大動脈瘤の破裂は救命が困難ですが、腹部大動脈瘤の破裂は救命の可能性があります」。胸部、腹部の大動脈瘤ともに50歳以上の男性に多い特徴がある。
原因の多くは「動脈硬化が基礎にあるケース」であり、当然、動脈硬化のリスクファクターである高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などが関係している。「大動脈瘤は無症状なので、何か他の疾患で受診して受けた検査で、偶然に発見されるケースがほとんどです。だから、私は50代以降の方には年に1回、胸腹部のCT(コンピューター断層撮影)を撮るよう勧めています」と、山本センター長はアドバイスする。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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