【第140回】
直径5センチ以上は手術
胸部大動脈瘤(中)
突然死に結びつく大動脈瘤(りゅう)は、多くは無症状で進行し、瘤が1度破裂すると、状況は一変する。胸や背中の激痛、血圧が低下してショック状態に−。破裂した場所によっては血を吐いたりというケースもある。
「胸部大動脈瘤の破裂は、胸腔内で起きます。肺があるだけでほとんど空洞なので一気に出血し、救命が困難です。一方、腹部大動脈瘤の破裂は腹腔内で起こります。ここには臓器が集中して大動脈からの出血をおさえている形になるので救命の可能性が出てくるのです」と言うのは、胸腹部大動脈瘤の治療で有名な川崎幸病院(川崎市幸区)大動脈センターの山本晋センター長(45)だ。
腹部大動脈瘤破裂では腹痛、腰痛とともにショック状態に−。
怖い胸部大動脈瘤も、できる場所によってはサインを出す。瘤が気管支を圧迫すると喘鳴(ぜいめい)や咳(せき)などを起こす。また、肺炎を何度も繰り返す。反回神経を圧迫すると、声がかすれたり、しわがれ声に。食道を圧迫すると物がのみ込みにくくなる。
このようなサインで受診して助かった人もまれにはいるが、多くは健康診断などでたまたま発見されるケース。運を天に任せず、年に1度は大動脈の検査を受けるべきである。
必要な検査は−。「胸・腹部エックス線、胸・腹部のCT(コンピューター断層撮影)、胸・腹部の超音波検査など。CTだけでも撮るべきだと思います」。
このような検査で胸・腹部大動脈瘤が発見された場合、瘤の直径が5センチ以上であれば手術適応となる。それ以下であれば半年に1回の検査で経過観察。「ただし、手術を行うのは外科医ですから、大動脈瘤があった時点で、信頼に足る大動脈専門の外科医の診察を受けるべきでしょう」。
発見できていて瘤を破裂させてしまっては、何にもならない。
▼反回神経 胸部大動脈のそばを反回神経が通っている。反回神経は声帯に関係する神経で、これが胸部大動脈瘤で圧迫されると、声帯に影響を及ぼす。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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