【第142回】
再手術になるケースも
胸部大動脈瘤のステント治療
胸・腹部大動脈瘤(りゅう)の治療の中心は手術。現在は、そのほかに2つの術式が行われている。その1つが「オープンステント」、もう1つが「ステント」である。
オープンステントは開胸、開腹後、大動脈瘤の心臓側にステントを縫いつけ、反対側は縫いつけずにそのままにしておく手術。一方、ステントはカテーテル(細い管)を使って大動脈瘤部分にステントを留置してくる術式。そのため、開胸、開腹する必要がない。
が、その大動脈瘤のステント治療に対して、川崎幸病院(川崎市幸区)大動脈センターの山本晋センター長(45)は、疑問を投げかける。「ステント治療では再手術になるケースもあり、患者さんに対して本当に誠実な治療といえるのでしょうか」。
大動脈瘤に対するステント治療は、術式としては心臓カテーテル治療と同じである。脚の付け根の動脈からカテーテルを大動脈瘤のできている患部にまで挿入し、その患部の長さよりも多少長いステントを留置してくるのである。
「このステント治療には3つ問題があります」。山本センター長の指摘する問題点とは−。
<1>ステント治療の長期成績(91年から米国で始まった)がいまだに出ておらず、確かに有効な治療か否かが不明。つまり、確実性が低いというのである。
<2>「ステント治療を行っている医師たちは、『治療後、患者さんは元気になられました』と言います。でも、大動脈瘤の患者さんは治療前も症状がなく元気なのです」。
<3>ステントの端から血液が瘤に侵入し、大動脈瘤が拡大するケースがある。
「ステント留置後に再手術になったときは、ステントが大動脈壁に食い込んでいるので、ステント留置前なら単純な腹部大動脈置換ですむケースが、ステントが留置されているために、より広範囲な大動脈置換が必要な場合も考えられます」。ステント治療法はさらに改善が加えられ、より患者の望む治療に進歩してもらいたい。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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