【第146回】
適応守って治療成績100%
前立腺がんの小線源療法
前立腺がんの治療で、今、最も注目されているのが「小線源療法」。米国では年間5万人以上が受けている。日本では03年7月に認可されたばかりと、日が浅いが、施設によっては1年、1年半待ちと、行列ができている状況である。
その人気は「数日の入院でよい」「副作用が少ない」「QOL(生活の質)が良い」「治療成績が良い」などにあるといわれている。良いことずくめのようだが、大きなデメリットもある。それは、前立腺内にとどまっているステージB、限局がんだけが適応と範囲が狭い。より詳しく紹介すると、さらに適応は限られる。
「米国の多数例の治療結果から、PSA(前立腺特異抗原)が10ng/ミリリットル以下で、がんの悪性度が高分化から中分化です」と説明するのは癌研有明病院(東京・江東区)泌尿器科の福井巌部長(61=副院長)。がんの顔つきがおとなしい、などと表現されることがあるが、高分化はおとなしいがんで、中分化はほどほどといった程度である。この状態であれば、小線源療法で「90%以上は治る」。
さて、注目の小線源療法は放射線療法の1つ。一般に放射線療法というと「外照射療法」といって体外から放射線をあてる。それに対して小線源療法は放射線を出すごく小さなカプセルを前立腺に埋め込み、体内で放射線を患部にあてる治療である。
まず、患者に腰椎麻酔をする。次に、患者の直腸に超音波プローブを挿入し、超音波画像を見ながら、肛門(こうもん)と陰のうの間の会陰(えいん)部から前立腺に針を刺す。その針の中を通して放射線を出すカプセル状の線源を60〜100個程度埋め込む。放射線量は徐々に弱まり、約1年でほぼゼロになる。
「私どもは小線源療法を04年3月から始め、1年後の治療成績は100%です。適応をしっかり守っているからです」。この適応基準を、福井部長は強調した。
▼線源 放射線を出す線源は純チタン製のカプセルで、直径0・8ミリ、長さ4・5ミリ。中には「ヨウ素125」が密封されている。生涯、前立腺に埋め込んだままになる。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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