【第151回】
透析4割が糖尿病腎症
腎不全(上)
腎不全から透析が必要となる患者が急増している。その原因疾患は多い順に「糖尿病腎症」「慢性腎炎」「腎硬化症」。これらは3大腎疾患といわれ、透析に至る原因疾患の80〜90%を占めている。特に最近の特徴は糖尿病腎症が急増している点である。
「糖尿病腎症は透析患者さん全体の40%を超え、続いて慢性腎炎が30%、腎硬化症が10%という内訳です」と言うのは、東京都済生会中央病院(東京・港区)腎臓内科の栗山哲部長(52)。
栗山部長の指摘にあるように、日本の糖尿病患者は予備軍も含めると約1620万人に膨れ上がり、その約30%は糖尿病腎症を合併する。「糖尿病は合併症が多いのが特徴で、特に心血管疾患が多く、これが人工透析でも強く影響し、透析療法を困難にしています。糖尿病から腎症へ移行し、さらに腎不全にまで至る人は、糖尿病の方の10人に1人と推定されます」。
原因疾患の2番目の慢性腎炎は、97年までは透析の原因疾患第1位だった。慢性腎炎は一般的には若い人の病気であるため心血管の合併症が意外と少なく、長期生存者が多い。事実、慢性腎炎から透析となった人では、透析をスタートしてすでに30年を超えた患者も多く誕生している。
3番目の原因疾患の腎硬化症は高齢者の病気である。高血圧、高脂血症などの生活習慣病が原因となり、全身の血管に動脈硬化を起こして腎不全に至るもの。高齢化が進んでいるため、これからも増え続けると予想されている。腎硬化症は高齢者の疾患であるため、糖尿病腎症同様に「平均余命が悪い」という。
3大腎疾患は経過を追うと最終的には透析へという流れになるものの、早い段階で疾患を見つけ、進行を遅延化させる治療戦略は極めて重要といえる。
▼慢性腎炎 正式には慢性糸球体腎炎という。腎臓で血液を濾過(ろか)する糸球体に炎症が起きる病気。タンパク尿から発見されることが多い。急性腎炎は治癒するが、慢性腎炎の多くは進行性で、いずれは透析を要するに至ることが多い。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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