【第165回】
日本の数十倍 米の角膜提供
角膜移植(上)
日本の臓器移植の中で、最も数多く行われているのが角膜移植である。それでも、年間2万2000眼必要にもかかわらず、提供できている角膜は2700眼。この中には米国から輸入した1200眼が含まれての数である。
「今は輸入によって増えましたが、数年前までは年間1500眼だったのです。これは何とも悲しい状況です」と、慶応義塾大学病院(東京都新宿区)眼科の坪田一男教授(50)は憂える。
これが、米国の現状となると、その大きな違いに驚かされる。角膜移植は年間4万5000件を超え、成功率は80%を超えている。「高水準で角膜移植を続けているのは、医療技術はもちろんだが、何より年間9万5000眼にも及ぶ角膜提供があるからで、社会的サポートがしっかりしています」。
1958年、角膜移植に関する法律ができ、これを受ける形で岩手医大眼球銀行、慶応義塾大眼球銀行、順天堂眼球銀行の3つのアイバンクがスタートした。が、期待されるほどには機能しなかったのである。
そんな中、今、日本で最も角膜移植手術を多く行っているのが東京歯科大学市川総合病院(千葉県市川市)で、年間300件に上る。坪田教授は04年から現職で、それまで東京歯科大学市川総合病院の眼科教授として角膜移植に尽力してきた。米国から角膜の輸入を始めたのも坪田教授である。
「できれば輸入などに頼らずに、国内の角膜アイバンクで整備して治療できるように機能させたい」。
慶應義塾大病院は、04年の角膜移植は57件、今年は150件−。「数年後には慶応だけで年間1000件を目指したい」と、坪田教授は言い切った。
▼角膜 角膜は眼球の最も前面にある透明な膜で、俗に「黒眼」と呼ばれる部分である。
【ジャーナリスト 松井宏夫】
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